家を新築する時、隣家との距離が近いとトラブルに繋がるケースが多くみられます。
隣家との距離があまりに近すぎると、そもそも建物の建築ができなかったり、隣人に訴えられて訴訟に発展・・・なんてことにもなりかねません。民法や建築基準法に、境界線付近の建築の制限が規定されているからです。
この記事では、そうならないための対策をご紹介いたします。
目次[非表示]
1.2.違反するとどうなるのか
1.3.屋根や軒が近くてもいいのか
3.事前の対策
3.1.大切なのは話し合い
3.2.合意内容は文書にする
4.まとめ
境界線付近の建築の制限
境界線付近の建築の制限には種類がある
境界線付近の建物建築の制限にはいくつかの種類があります。民法や建築基準法によるものです。本記事では、このうち民法の規定について解説をいたします。
違反するとどうなるのか
民法234条1項には「建物を築造する際、境界線から50センチ以上の距離を保たなければならない」と規定されています。これに違反して建築を開始してしまうと、隣地の所有者は建築の中止又は変更を請求できます(民法234条2項)。
屋根や軒が近くてもいいのか
では、「建物のどの部分」から境界線までの距離を離せばいいのでしょうか。これは、「建物の本体」からとされています。本体の突出部分(出窓など)は含みますが、屋根のひさしはこれに含まれません(東京地裁平成4年1月28日判決)。
※屋根のひさしも建物本体の突出部分と同様に扱うとする見解もあります。
多くの建物が違反している
地域の慣習
しかし、壁と境界との距離が非常に近くなっているような建物はありますよね。実は、民法236条に「異なる慣習があるなら慣習に従う」という例外規定があるのです。例えば、繁華街における慣習が認められるようなケースや、その地域内の住民同士で承諾書を交わす場合などが挙げられます。
防火地域で耐火構造なら、50センチ未満でもいい
また、建築基準法には「防火地域又は準防火地域内にある建築物で,外壁が耐火構造のものについては,その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」と規定されています。
ただし、注意が必要
上記のとおり、例外規定によって「50センチ」の制限よりも隣家に接近した建築は可能です。ただしその場合、日照関係やプライバシーの確保といった別の問題が生じるかもしれません。
事前の対策
大切なのは話し合い
日照問題などの近隣住民の方との民事上の問題は、当事者で話し合って解決することが原則です。
建物の建築は建築基準法等の規制がありますが、主として安全、衛生、防火上の観点から定めたものであり、近隣間における問題の調整を目的としたものではないからです。
合意内容は文書にする
そして話し合いがついた場合は、後日のトラブル防止のため、合意内容を文書等で取り決めておくことが大切です。文書の形式は、建築主が「念書」を提出する方法や近隣関係住民代表、建築主、施工者が署名押印した「協定書」「覚書」「工事協定書」を取り交わす方法などがあります。
まとめ
本記事では、建物と境界線との距離の制限についてご説明してきました。せっかく建てた建物も場合によっては建築が中止になったり、トラブルとなる可能性があります。
隣人とのトラブルにならないように、万全の対策をとりましょう。
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