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【確認必須】高齢者の不動産売却時に注意しなくては意思能力とは?

超高齢社会となり、ご高齢の方が不動産の売主という

ケースが多くなっています。

そんな特に問題になるのが、「意思能力」。

意思能力とはなんなのか、確認してみましょう。


意思能力の重要性


「意思能力がない者がした取引行為は、無効である」

(大判明38.5.11)

裁判例では上記のように解釈されており、意思能力の有無は

売買等の取引行為に決定的な影響があります。

つまるところ、「意思能力」とは、


「契約等の法律的な行為を有効に行うことが出来る能力」

と理解することが出来るでしょう。

しかも、売買等の契約自体が無効となるのみならず、

第三者保護規定がないため、転売等がされても

全て無効となってしまいます。恐ろしい話です…。

(東京地判 平21.10.29ウェストロー・ジャパン)


意思能力がないとされる場合


それでは、具体的にどのような方が

「意思能力が無い」

とされてしまうのか??

最も身近な例は、「認知症患者」です。

なぜなら、認知症を発症している方は、

自分で契約の内容や妥当性を理解することが

困難と考えられるからです。


裁判所の考え方


それでは、認知症の方が常に意思能力が無く、

売買等の契約が無効となるのか??

といえば、どうもそうではありません。


例えば、以下のような裁判例があります。


 「認知症の代表取締役が、事理弁識能力の低下はあるものの

  媒介契約締結や、入院の手続など、他の手続において、

  判断能力に疑問が持たれるような形跡はなく、意思能力を欠く

  状況ではない」(東京地判平21.11.10ウエストロー・ジャパン)


要するに、認知症ではあるが程度によっては

意思能力ありと判断されるケースもあるということです。


また、以下の裁判例も参考になります。

 「老人性認知症・アルツハイマー型認知症と診断されていた者が

  転居先を決めずにした自宅の売却、不当に廉価でした売却などは

  正常な判断ができていない」

  (東京地判平21.10.29ウエストロー・ジャパン

   東京地判平20.12.24判時2044-98)

つまり、「転居先を決めずに自宅を売る」

    「相場よりも理由なく大幅に安く売る」

ような事情の基では、無効と判断がされています。

逆に、「相応の転居先も決めてあり、 相場価格での取引」

であったのであればどうだったのか…?

興味深いところですね。


まとめ

上記のように、裁判所の判断も、ケースバイケースです。

不動産のお取引に関わる方としては、

意思能力に不安がある場合、以下の事項を確認してみて下さい!


□ 物件価格や契約の条件が不利益でないか?

□ 普段の様子はどうか?コミュニケーションはとれているか?

□ 本人以外の者の利益となるような可能性はないか?


少しでも問題があるのでは?

と思ったら、司法書士や医師を絡めて進めましょう!


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