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最速で遺言を書きたい方へ。簡単に書ける自筆証書遺言のメリットと書き方

2 日前
読了時間: 12分

いずれ誰にでも訪れる相続に備えて、一番最初に検討してほしい対策が遺言書です。


「相続のときには子どもたちがうまく財産を整理してくれるはず」「遺言なんて縁起が悪いから嫌だ」。このように考えている方はたくさんいらっしゃいます。しかし、悲しいことにその結果として、残された家族の間でトラブルになったり、思うとおりに相続手続きが進まなかったりするケースを、数限りなく見てきました。


遺言書は、自分の想いを家族に託し、相続トラブルの予防や相続人の手続き負担の軽減にもなる、有効な生前対策のひとつです。遺言書を書くことには、自分が生きてきた証を総決算し、それを家族や社会のために役立てるという意味があります。


その遺言書の中に、自筆証書遺言というものがあります。自筆証書遺言は、紙とペンさえあれば誰でも作成できるので、思いついたときや空いた時間に作成を進めることができます。自分ひとりで完結できますので、手軽に素早く遺言を完成させたい方におすすめです。


今回は、少しでも皆さんに自筆証書遺言を身近に感じてもらえるように、作成するメリットと、作成方法について解説していきます。


1.自筆証書遺言とは?

遺言書には主に、公正証書遺言と自筆証書遺言があります。自筆証書遺言とは、作成する人が「財産目録以外の全文を自署」する形式の遺言書です。


この方法で作成した遺言書も、公正証書遺言と同じように、次のような効果が期待できます。


  • 相続人全員の話し合いが不要になるため、紛争を防ぐ効果がある

  • 財産を相続する家族の手続き負担が軽くなる

  • 想いが伝わることで、相続人の間の感情を整える効果が期待できる


遺言書でできることや、家族信託・任意後見との違いは、生前対策・相続のご案内でもご紹介しています。


2.公正証書遺言との比較

自筆証書遺言と公正証書遺言には、次のような違いがあります。ひとつずつ見ていきましょう。


  • 作る場所:自筆証書遺言はどこでも/公正証書遺言は公証役場

  • 書く人:自筆証書遺言は本人が全文を自署(財産目録は除く)/公正証書遺言は公証人が作成

  • 証人:自筆証書遺言は不要/公正証書遺言は2名以上

  • 費用:自筆証書遺言はかからない(法務局の保管制度を使う場合は手数料3,900円)/公正証書遺言は公証人手数料(財産額による)+専門家に依頼する場合はその報酬

  • 形式不備のリスク:自筆証書遺言は本人以外のチェックがない/公正証書遺言は公証人が確認する

  • 保管:自筆証書遺言は自分で保管、または法務局の保管制度/公正証書遺言は原本を公証役場が保管

  • 死後の手続き:自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要(法務局保管なら不要)/公正証書遺言は検認不要


2-1.自筆証書遺言のメリット・デメリット

自筆証書遺言は、紙とペンさえあれば自分一人で作成できるので、手軽に書けますし、何より費用がかかりません。そして、自分しか関与者がいないため、書き直しが比較的容易にできることもメリットのひとつです。


まだお元気なうちに遺言書を書くことは非常に良いことですが、資産構成や気持ちが変わる可能性も少なくありません。手軽に書き直せることで、何度でも検討でき、徐々に気持ちを固めていくことができるのです。


一方で、デメリットもあります。自分しか関与しないというのは気軽ですが、不備があっても誰にも気づいてもらえません。せっかく書いた遺言が法的に無効になってしまったとしたら、残念どころか取り返しがつきません。


また、公正証書遺言と違いバックアップがありませんので、紛失や偽造・変造があった場合に、せっかく書いた遺言の効力を保つことが難しくなってしまいます。そしてごくまれに、公正証書遺言ではないという理由で、金融機関が遺言どおりの払い戻しに難色を示し、結局相続人全員の関与が必要になったという話も耳にします。


2-2.公正証書遺言のメリット・デメリット

公正証書遺言では、公証人の関与があるため、形式不備になってしまうおそれや、偽造・変造のリスクが抑えられます。また、遺言の提出先において、自筆証書遺言よりも信頼性が高いということもあげられます。


一方で、作成には費用がかかったり、証人を2名用意する必要があるなど、一定の手続き負担があります(専門家に依頼する場合は、証人はその事務所が用意することが多いです)。


【ワンポイント】 おすすめは、取り急ぎ保険的な意味合いで自筆証書遺言を書いておき、内容が固まったら、最終的に公正証書遺言を作成しておくことです。


3.自筆証書遺言の作成の流れ

次に、自筆証書遺言作成の大まかな流れを解説していきます。これといった決まりはありませんが、だいたいこのような流れになります。


  1. 自分の財産を整理する

  2. 相続する人や、その割合を決める

  3. 本文と付言事項を書く

  4. 書いた遺言書を保管する


それぞれについて詳しく見ていきましょう。


3-1.自分の財産を整理する

まずは、ご自身が所有している不動産、預貯金、株などの有価証券をリストアップしてみることから始めましょう。エクセルなどで、預貯金の口座情報や金額、不動産の情報、株の銘柄や生命保険の情報、負債などを詳細に書いた「財産目録」を作成してみるのもおすすめです。


3-2.相続する人や、その割合を決める

誰がどの財産を引き継ぐか、もしくはどのくらいの割合で相続させるかを決めていきます。不動産や金融資産などの資産構成や、ご家族構成によっては、一番検討が必要な部分だと思います。なぜなら、自分との生前の関わり方や、相続する人の生活圏などによって、法定相続分どおりというわけにはいかないケースが多いからです。


その中でも、相続財産の中に不動産がある場合は、法定相続分で分割して共有のまま相続してしまうと、土地の維持が難しくなることに注意が必要です。また、相続税がかかることが予想される場合には、不動産だけを相続すると納税ができないので、現金で納税資金を用意してあげることも重要です。


3-3.本文と付言事項を書く

そしていよいよ本文の記載です。シンプルな遺言の例を参考に解説します。


(遺言書の例)


遺言書 遺言者 ○○○○は、次のとおり遺言する。 第1条 遺言者は、遺言者の所有する次の不動産を、妻 ○○○○(昭和○年○月○日生)に相続させる。  所在 東京都新宿区○○ 地番 ○番○ 地目 宅地 地積 ○○.○○㎡  所在 東京都新宿区○○ ○番地○ 家屋番号 ○番○ 種類 居宅 構造 ○○ 床面積 ○○.○○㎡ 第2条 遺言者は、次の預貯金を、長男 ○○○○(昭和○年○月○日生)に相続させる。  ○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○ 第3条 遺言者は、本遺言書に記載のない財産のすべてを、妻 ○○○○に相続させる。 第4条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、長男 ○○○○を指定する。 (付言事項)長い間、本当にありがとう。この遺言は、母さんがこの家で安心して暮らせるように考えて書きました。皆で助け合って、仲良く暮らしてください。 令和○年○月○日 東京都新宿区○○ ○丁目○番○号 遺言者 ○○○○ ㊞


この例のように財産ごとに相続する人を定める方法のほか、相続する割合を指定することもできます。法定相続人以外の人にも財産を渡すことができるので、その場合は「遺贈する」と記載しましょう。


預貯金は金融機関名、口座番号までを記載し、金額を書かないことで、残高の変更があっても書き直しが不要になります。その他に、遺言で墓地や墓石の所有権を承継したり、祭祀を主宰する人を指定したりすることもできます。


その際に、付言事項までしっかり書くことが重要です。付言事項というのは、法的な拘束力を持つ文章ではないので、遺言者が自由に記載できる部分です。なぜこのような内容の遺言を書いたのかという説明や、家族に対するメッセージを送ることができます。この付言事項をしっかり書くことで、相続トラブルを避ける効果があるのです。


三菱UFJ信託銀行の相続研究所のレポートによれば、相続紛争の代表である遺留分侵害額請求について、約40%の人が「本人の意向が理解できれば請求しない」と答えています(出典:三菱UFJ信託銀行 相続研究所「調査研究レポート」)。


【ワンポイント解説】 自筆証書遺言は、全文を自筆で書き、最後に「正確な日付」と「署名・押印」が必要ですので、忘れずに記載してください。財産目録だけは、パソコンで作ったものや通帳のコピーを添付する形でも構いませんが、その各ページに署名・押印が必要です。


3-4.書いた遺言書を保管する

完成した遺言は、相続人に預けておくか、自分で保管する場合でも相続人には保管場所を知らせておきましょう。なぜなら、「遺言があるはずだが、見つけられない」「手続きが終わったあとに、遺言が出てきてしまった」「何者かの手によって破棄された」ということは、意外にも多くあるからです。


公正証書遺言の場合は、原本が公証役場に保管されるので心配ないのですが、自筆証書遺言を作成する場合には、遺言書を安全に保管することにも注意を払う必要があります。また、遺言書がないと思ってした遺産分割協議のあとに遺言書が発見されると、混乱を招きます。遺言書が発見された場合に遺産分割の効力を維持するには、相続人が遺言書の存在と内容を知ったうえで、改めて全員で遺産分割に合意する必要があるからです。


遺言書の保管については、遺言の作成を相談した専門家に依頼するか、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用することがおすすめです。法務局に預けると、紛失や改ざんの心配がなくなるだけでなく、相続開始後の家庭裁判所での検認も不要になります。


4.トラブルを避けるためのポイント

遺言での相続人の指定や、相続割合の指定は自由に定めてよいものの、トラブルを避けるためには、次のようなことに注意する必要があります。


4-1.過激な内容は避ける

過激な内容とは、「あいつにはビタ一文あげない」「すべての財産を相続人以外にあげたい」というような、極端な内容のことです。そのような過激な内容を実現しようとすると、相続紛争のリスクが高まってしまいます。


相続財産の中に容易に分割できない財産(例えば不動産など)が多くを占める場合は、比較的分割しやすい預貯金等で調整して、遺留分に相当する程度は相続人全員に分配してあげることが無難でしょう。


4-2.預貯金や株などは特定しすぎない

遺言書に預貯金を記載する場合は、口座情報を特定しましょう。「預金」と記載しただけでは、相続の際にどこに預金口座があるかを相続人が調査しなければならず、口座の調査にはかなり労力がかかります。預貯金の記載は、「金融機関名」「支店名」「口座の種類」「口座番号」を特定して記載することがおすすめです。


一方で、「金額」まで特定してしまうと、トラブルのもとになることがあります。預金や有価証券などの金融資産は流動性が高く、相続の際に必ずしもその数量が維持されていないことも多いからです。また、遺言書に記載した数量を超える資産があった場合は、その増えた分については遺言書の指定の効力が及ばない可能性もあります。


同様の理由から、保有株数に変動のある上場株式などを記載する場合は、「株数」まで特定せずに、「○○社の株式全部」のように記載することをおすすめします。


4-3.「余り」の財産をつくらない

余りの財産というのは、遺言書で指定していない財産のことです。遺言書は、まだ元気なうちに書くことが多いため、将来の自分の資産構成をすべて書き出すことには無理があります。


しかし、遺言書で指定していない財産があると、その部分については紛争の可能性や手続き負担を回避できず、遺言書の効果が半減してしまいます。そこで、「本遺言書に記載のない財産については妻○○に相続させる」のように、余りの財産についての記載をすることが重要です。


4-4.遺言執行者の指定を検討する

遺言執行者とは、遺言に記載された内容を具体的に実現する役割を負う人のことです。遺言執行者は、遺言書の中で指定することができ、誰を指定しても問題ありません。


遺言書を書く場合には、内容だけではなく、自分が万が一亡くなった場合の「遺言内容の実現」にも注意を払う必要があります。相続が発生し、遺言書の内容を実現する手続きの段階では、相続人が負担すべき手続きの数が非常に多いからです。


その点、遺言執行者を指定しておけば、ほとんどの手続きで相続人の関与が不要になり、相続人の手続き負担が激減します。特に預金口座が多い場合や、相続人以外の人に財産を渡す場合にも、遺言執行者が指定されていれば、手続きを円滑に進めることが可能です。


また、遺言書の内容が相続人の全員にとって望ましい内容ではない場合も多いと思います。そんなときは、専門家のような第三者を遺言執行者に指定することもできます。せっかく書いた遺言書を無駄にしないためにも、遺言書の中で遺言執行者を指定することも検討しましょう。


5.専門家に相談するメリット

5-1.漏れのない遺言書が書ける

自筆証書遺言は、シンプルに書くこと自体は手軽なのですが、遺留分、寄与分、特別受益などを本気で検討すると、かなり奥が深くなってしまいます。そのような細部までしっかり検討した遺言書を作成できることが、専門家に相談するメリットです。


5-2.様式不備や内容の不備で、遺言が無効になることを防ぐ

せっかく遺言書を作成しても、形式不備や内容に問題があるために、遺言が無効になってしまう場合があります。公正証書遺言では公証人が形式不備をチェックしますが、自分一人で自筆証書遺言を完結した場合は、誰のチェックもありません。その点、自筆証書遺言のサポートを専門家に依頼した場合は、その専門家が遺言の形式をチェックしますので安心です。


また、「定期預金」と「普通預金」などのほんの小さな書き間違いが、長期間裁判で争われた事例もあります。このように形式だけではなく、表現内容についての問題点も専門家がチェックすることで、トラブルを防ぐことができます。


5-3.生前の対策が抜け落ちないようにできる

遺言書の効力は、あくまで自分が亡くなってから発揮されるものです。そのため、「生前に判断能力を失うリスク(=資産凍結リスク)」への対策が、すっぽり抜け落ちてしまいます。専門家が検討する場合は、認知症対策と相続対策をセットで考えますので、家族信託や任意後見といった認知症対策も一緒に検討します。


6.まとめ

  • 自筆証書遺言は、誰でも気軽に書くことができ、非常におすすめ

  • 最終的には、公正証書遺言を作成することがおすすめ

  • 遺言書の文案の最終チェックだけでも、専門家に依頼すると安心

  • 本気で相続対策をするなら、遺言以外の検討を含めて専門家への相談がおすすめ


当事務所では、初回のご相談を1時間・無料でお受けしています(ご来所またはオンライン)。遺言書の文案をお持ちいただければ、その場で気になる点をお伝えします。相談を予約する

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