【支援事例04】アパートを子に贈与するか、管理を任せるか ― 税理士と財産管理や承継の組合せを設計した例
※ 実例をもとに、個人が特定されないよう人物・家族構成・財産・金額・経過を加工したモデル事例です。特定のお客様の声を示すものではありません。
ご家族:父75歳、長女49歳、長男46歳。母は他界
主な財産:賃貸アパート1棟と預貯金。年間家賃収入約720万円、借入れ完済
ご相談のきっかけ
お父さまは、退職後の生活を年金と家賃収入で支えていました。日々の管理は管理会社に任せていても、屋根の修繕や設備交換など、所有者として判断する場面は残ります。近くに住む長女が、業者との打ち合わせに同席する機会が増えていました。
「相続税も心配だから、今のうちに娘へ贈与した方がよいだろうか」。顧問税理士にそう相談したところ、今後の管理や家族への承継も併せて考える必要があるとして、当事務所へご紹介いただきました。遠方に住む長男への配慮も、お父さまの気がかりでした。
私たちが行った支援
税理士と共有したのは、税額だけでなく、家賃の収支、今後の修繕費、お父さまの生活費です。贈与した場合と相続まで保有した場合を税理士が比較し、当事務所は管理を任せる方法と財産の承継方法を整理しました。検討の結果、家賃を生活費として確保するため、今回は生前贈与を見送ることになりました。
アパートと管理資金を家族信託の対象とし、お父さまを受益者、長女を受託者としました。家賃から修繕費などを支払い、残りをお父さまの生活に充てる設計です。管理会社や金融機関と調整し、賃貸人の名義や入金先、収支の記録方法も整えました。
お父さまの死亡時に信託が終了し、アパートを長女へ引き継ぐ内容を信託契約に定め、信託に入れない預貯金は遺言で長男への承継を中心に整理しました。既存の生命保険は保険会社に受取人や保障内容を確認し、受取人が当面の支払いや納税に使う資金として位置づけました。税理士と双方の取得財産や必要資金を点検し、遺留分にも配慮して全体の配分を調整しました。
その後の変化
その後に給排水設備の修繕が必要になったときは、長女が受託者として見積りを比較し、契約で定めた範囲で発注しました。お父さまには収支を報告し、家賃を生活費に充てる流れを維持しています。
長男にも将来の配分を説明できたことで、管理を担う人と財産を受け取る人、それぞれの役割が明確になりました。税理士には同じ収支資料を渡し、保有中の税務も継続して確認しています。
【制度の補足】信託そのものに相続税を減らす効果があるわけではありません。この設定では、家賃等の所得は原則として受益者である父に帰属します。
ご相談について
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