【支援事例01】親が元気なうちに実家のこれからを決めたい ― 家族信託で実家を母の暮らしに生かした例
※ 実例をもとに、個人が特定されないよう人物・家族構成・財産・金額・経過を加工したモデル事例です。特定のお客様の声を示すものではありません。
ご家族:母82歳、長男54歳、長女51歳
主な財産:母名義の実家と預貯金約600万円(住宅ローンなし)
ご相談のきっかけ
お父さまを亡くしてから、都内の戸建てで一人暮らしを続けていたお母さま。買い物も通帳の管理もご自身でできていましたが、階段の上り下りがつらくなり、屋根の修繕の話も出ていました。近くに住む長男は、将来の施設入所や建替え、売却のことが気になっていました。
「母が認知症になったら、実家を売って施設代に充てることもできないのでしょうか」。一方、お母さまには「今すぐ家を離れたくない。名義を変えたら、息子の家になってしまうのでは」という戸惑いがありました。
私たちが行った支援
まず、お母さまと個別にお話しし、できる限り自宅で暮らしたいこと、難しくなったときは実家を生活費に役立てたいことを確認しました。仕組みの理解や契約する意思を確かめながら、財産を管理する役割と、その財産から利益を受ける権利を分けて説明しました。
選んだのは、お母さまを財産の委託者兼受益者、長男を管理役である受託者とする家族信託です。実家と修繕用の金銭300万円を対象とし、長男が行える修繕や売却の範囲、売却代金を母のために使うことを契約に定めました。残りの預貯金は、お母さまが従来どおり管理します。
県外に住む長女にも説明し、年1回の収支報告、長男が管理を続けられなくなった場合の後任、母の死亡時に信託を終了して残った財産をどう引き継ぐかも決めました。公証人と金融機関に内容や口座の取扱いを確認したうえで、公正証書による契約、登記、管理用口座の準備まで進めました。
その後の変化
数年後、お母さまの判断力が低下し、施設で暮らすことになりました。長男は入所後の生活と費用を確認し、信託契約に定めた権限で実家を売却。代金も信託財産として管理し、施設費や医療費に充てました。
お母さまが自分で選べるうちに、住み続けたい気持ちと、将来必要になるお金の両方を話し合っていたことが、実家の扱いを決める支えになりました。
【制度の補足】信託で扱えるのは、契約で定めた財産と権限の範囲です。施設入所の契約や医療上の同意まで、家族信託だけであらゆる役割を代行できるわけではありません。
ご相談について
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